合併をしなかった町を訪れて思う「自治とは」「議員とは」「選挙とは」

週末休みの二日目。

家では集中できないので、離れた土地に行って、現地で仕事をしようと思い立ち、車を走らせました。

向かった先は阿武町。

山口県内の市町村のうち、合併をせずに頑張っている小さな田舎町です。

ただこの阿武町、合併しなかっただけではなく、自立して頑張っていこうといろんな取り組みをさせれています。

どんなことをしてるかはともかく、「わが町のために」というマインドを共有して進むというところにはとても魅力を感じます。

人口減少が顕在化するのが遅すぎたという点はありますが、合併をしなかった阿武町の人たちこそが、「郷土愛」、地域自治の魂に誇りを持っていた人たちなんだろうと思います。

「地方創生」とかいうキャッチーな宣伝文句が作られて、いかにも日本全国で地域振興の取り組みが進んでいるようですが、各自治体は何をもって地域が元気になると考えているのでしょうね?

これをご覧いただいた方も、自分が住んでいる自治体が何を目指しているのかに少し目を向けてみてはいかがでしょうか。

そういう癖をつけておけば、選挙のときに誰に投票すれば良いのかがだんだんと見えてくるはずです。

日本は代表民主制であり、選挙で選ばれた首長と議員によって地域行政が行われます。

一般市民が参画できることは、まずは選挙で自分の代弁者を選ぶことなのですから。

そして、これは選挙戦が始まってからでは遅いのです。

選挙戦に入ってしまうと、立候補者は耳に良いことしか言いません。

私はこれが納得できないところではありますが、そうすることで獲得できる票が増えるのは間違いないようです。

立候補者も人間、投票する我々も人間です。

その瞬間の現実を、つい事実と認識してしまいますから、選択を間違える場合も多いのですね。

国政選挙でもこういう「選挙に当選するためだけの言葉」がいとも簡単に飛び交っていて、それを信じて投票する人たちがいるのも事実です。

私たち一般市民の未来を託す大切な選挙です。しかし、ただ投票しに行けば良いのではなくて、少しでも良いから「責任をもってこの人に託す」という気持ちを作るための準備をしておきたいものです。

もう長いこと選挙における投票率の低さが問題になっていますが、どうやら議員さんたちの多くは選挙管理委員会が悪いと思っているようです。

私がここで書いた、日本における民主主義において一般市民が参画できる手段としての選挙がとても大切なことは、義務教育を経ている以上、誰でも知っているはずです。

なのになぜ選挙に行かないのか?

選挙に行くことに価値が感じられないからだと思います。

つまり、誰が当選しても同じ。

先日行われた沖縄県知事選挙などは、基地問題というとても大きな課題を抱えていますので、県民は真剣に考えて投票に行ったはず。

でも、それでも63.24%だったんですね。

それとなく日々が過ぎていく平穏な地方自治体において、何が何でも自分の一票を投じなければならない理由はそれほど大きくはないでしょう。

まてよ。平穏に過ぎていると思っていること自体が大きな問題と言えますね。誰も先を見ていない。

今まさに地方創生などという事態、それもかなりの手遅れ状態に陥ってしまったのは、そういうマインドがしっかりと醸成されてしまっているからこそではないでしょうか?

国はお金を使って地方を支配している。

かつて地方分権の名の下に地方自治を進めて来たとはいえ、依然として地方ができることには限界があるからだと感じています。

「各自治体でやれ」と言ってはいるものの、東京一極集中の日本において、財源に困っている自治体の1番の関心ごとは、国からの補助金と交付金です。

この国からもらえる「お金」を獲得することが1番になってしまっており、「何をしたいのか」が後回しになっている感がないでしょうか?

そういうことです。

それで良いというのなら、それで良いのですが、私はそれで良いとは思っていません。

となると、ここで「地方議員がどうあるか」が大きなポイントとなるわけです。

地方自治の両輪の一方である議員が、行政運営についてどう感じているのか?

今のままで良い、と思っているのであれば、何も投票率を上げる必要はないわけです。

まあ、投票率の問題は、自治体運営以外にもさまざまな影響はありますけどね。

しかし、現在の首長が行う自治体運営に疑問があると感じるのであれば、自分たちの自治体が今何をすべきなのか、そしてその根拠はなんなのか、しっかりと周知しなければならないと思うのです。

そういう問題意識を市民が持つようになって初めて、投票率が上がるはず。

でも、地方議会の議員さんたちは普段、何をやっていますか?

自分の応援者に対する報告会くらいはやっているかもしれませんが、ハッキリ言って選挙が終わってからは首長から招集される議会以外にそういう仕事をしていますか?

きっと、していませんよね。だって、市民の間では「当選したら急に態度が悪くなる」って、平気で言われる議員は多いですからね。

逆に、やることをやっていると言うのであれば、そこは問題ない。投票率が低いのは、何をやっても変わらないかもしれませんね。

だって、投票する意味がわからないんだから。

えー、なんだか議員さん批判になってしまったかもしれませんが、頑張って欲しいのです。

そして、まずは「民主主義とは何か、自治とは何か」について学んで欲しいのです。

民主主義は、古代ギリシャ時代から現在に至るまで、そしてこれからも完全になることはないでしょう。

制度的に整っているかどうかを言っているわけではありません。

ですが、政に関与する者として、常に問い続けることは必要だと思っています。

今のままで良いのだろうか?

決して「悩め」と言っているわけでもありません。

常に心のバランスを取るためには、全ての方向に「?」を置いておくことが必要だと思うのです。

確信をもって身を委ねることは、それが間違っていた時にはとんでもないことになってしまう。

信じきっているからこそ、元に戻るきっかけがない。

勢いあまってスッテンコロリでは困りますね。

未だに「国の動向を注視する」というのが重要視されていますが、地方分権が始まってからは違うはずですね。

国は地方行政の責任は取ってくれない。

どこまでいっても、支援、補助をしているだけであって、指導も指示もしない。建前では。

すなわち自己責任が前提です。

ならば、自分たち地方自治体の「内」を見つめるべきではないでしょうか?

地方自治体関係者は、まず足元をしっかり見つめる必要があると思うのです。

まあ、地方自治はその「場」に集った人間の意識によりますから、現在もその自治体の市民にとって「それでよい」方向に進んでいるのは間違いないですが。

皆が望んだものが、現在の現実を作っている。

だから、間違ってはいないのですけどね。

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