根拠なき議論の果てに~意味不明なお花畑の誕生~

これは実話です。
とある会社のトップがもらした一言で意味不明な議論の場ができた話。

まあ、一般的な会社で言えば、社長がふともらした言葉にその部下である部長が過剰に反応し、その言葉の真意も確認することなく「とにかく何かやれ」とそのまた部下に命令して、プロジェクトチームができたのだが・・・

真面目に考えて議論するためには、「根拠」が必要だということになり、部長に対して「社長の発言の背景や根拠を確認してほしい」と伝えたら、返ってきたのは「そんなん聞けるか!」の一言。

で、不満を抱えながらも「社長のつぶやき」に応えるような事業案をとりあえず作ることに・・・

しかしながら、あくまでも「とりあえず」作ったものであり、それが社長の意図に沿うものなのか、意味のあるものなのかは分からない。

試案の段階で部長が社長に見せたらしいが、「これじゃない感」を出したとのこと。でも、部長は社長の意図を確認することすらできないし、なんと社長自身もちゃんと自分の思いを伝えるそぶりも見せなかったようだ。

なんだ、この組織は?と非常に徒労感を感じる一同。

その後、社長は「これじゃない感」をにおわせたけれども否定はしなかったということで、その案をベースに肉付けをして完成させようということになった。でも、たとえそれらしく肉付けをしても、違うものは違うはず・・・

しかし、あきらめたのか達観したのか、プロジェクトチームはこの事業を展開することを考え始める。こうやったらいい、ああやったらいい。こうやって、目的不明のお花畑事業が完成した。そもそもの根拠も目的もはっきりしないままに・・・

プロジェクトチームを含め誰もが、最後は部長ですら納得できないものが出来上がってしまったが、これでできたことになってしまった。

事業ができたということは、会社としては誰かがこれを実行することになるわけだが、そのためには人員、時間、作業、クライアントとの関係づくりなど、多くの労力が消費されることになる。
果たして、どうなってしまうのか?←今ここ

さて、この記事を機会に、カテゴリに「組織運営」を加えました。
心理に関わった人間として、自分が理想と思う組織の在り方について語っていきたいと思います。

まず、この組織の動き方ですが、トップと上層部がその役目を果たしていませんね。
この記事のタイトルにもあるように「根拠不明」「意味不明」な状態で社員が検討に入ります。
もちろん、プロジェクトチームの社員は、部長に対して「社長の意図を確認してほしい」と要請するのですが、部長はこれを拒否します。
なぜ拒否したのかは不明ですが「そんなん聞けるか!」という言葉から解釈すると、「部長という役職にある者は、社長の一言ですべてを理解するものだ」という定義を持っているようです。
ですが、そんなことってありませんよね。わずかな一言の裏にはいろんな背景があって意図や目的があるわけで、それをちゃんと確認しないと土台が間違ってしまう。
間違った土台から、狙ったゴールにたどり着くには、奇跡が起こるのを祈るしかないですが、まあほぼ無理ではないでしょうか。

一言でいえば、会話が足りない風通しの悪い組織、といったところでしょうか。
そして部下たちはあきらめて適当な事業を作り続ける・・・
まあ、その会社のことですから、好きにやったらいいとは思いますが、非常に効率も悪いし、達成感もないし、心理的にはテンションダウンのスパイラルに入りそうな感じです。そして、いつか気が付けばまだマシですが、部長の言葉からも読み取れるように「それが当たりまえ」と定義されていますので、気が付くことすら難しいかもしれません。

根拠だ、目的だ、なんて言いましたが、こんな場合でも完成した「お花畑事業」がヒットして成功体験になる可能性も否定はできません。
そうなるとまた別の道が始まるかもしれませんけどね。さて、どうなることやら・・・

こんな組織があるの?と思われるかもしれませんが、あるんですよね現実に。

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